僕の番、私の番!!! 兄弟と分け合うことを身につけるのがとても大切な理由とは
子どもが物を分け合ったり順番を守ったりすることができない時に、「親がおちいる罠」にかかっているのを見たり、または自分が陥ったことがあったりするのではないでしょうか―簡単に陥りやすいので、ここでは「罠」と呼んでいます。親がおちいる罠とは、子どもの抵抗を避けようとしたり、「そのうち自然にできるようになるよ」と考えたりすることです。
物を分け合ったり順番を守ったりする事について、異なる年齢の子どもが、何をどのくらいできるか、適切な期待を持つことが大事です。年齢の小さな子どもは、年齢が上の子ども達ほど、他の子ども達とうまく遊ぶことができません。ヨチヨチ歩きの幼児は、物を分け合ったり順番を守って協同で遊ぶというよりは、平行遊びと呼ばれる遊び方をします。発達学的に、この年齢層の子どもが個人としての自分に集中するのはごく普通の事です。
でも、問題がずっと続いているのに、大人が見て見ぬふりをしたり、子どもが自分で解決すると期待して放っておくと、衝突や争いが起こり始めかねません。自分たちで解決するのに必要なスキルや知識を子どもが身につけていないかもしれないからです。
そして最終的に、子どもは経験から、何かが欲しい時はそれをつかみ取るか、他の人を押しのければいい、と学ぶ可能性があります。もしそのような行動が子どもにうまく働けば、その行動は繰り返されるようになります。自分の思い通りにするために、物をつかみ取ったり人を押しのけたり、または人を叩いたり傷つけるようなことを言ったりすることを身につけてしまうのです。それは兄弟げんかにつながる材料です。
反対に、年齢が低い子どもなど、あまり自信のない子どもは、根負けしたり、順番に遊ばせてほしいと頼むことを避けたりすることを身につけてしまうかもしれません。このような子どもは、押しが強い子どもに何度も対抗されると、とても受け身になりがちです。
では、例えばテレビのリモコンの取り合いが起こっている時に、親として何ができるのでしょう?人生でよく起こる争いの一部と片付ければいいのでしょうか?いいえ、意見の違いや衝突に対応する別の方法を子どもに教えることは、価値があります。押しが強い子どもに、もっと気を使いやさしくするように教えるだけではありません。受け身の子どもも、やさしくかつ毅然とした態度で何かを頼むことを身につける必要があるのです。そして、もし不公平なことが起こった時でも、くじける必要はないことは、すべての子どもが学ぶことができます。
子どもに「ケンカはやめなさい」という代わりに、子どもに社交スキルを教えるという観点から考えてみましょう。親自身が助けを得る必要があるかもしれません。そうすることで、子どもにそれがどんなスキルかを説明し、子どもにそれを練習させ、子どもが上手にできた時に子どもにそれを伝えることが効果的にできるようになります。
人を思いやることや、物を分け合ったり順番を守ったりすることは、生涯使えるスキルです。人が集団の中で協力して生活し、一緒に働くことを可能にする、重要な行動の一つです。誰が何を使うかについて常に競争、口論、けんかが起こっていたら、人間関係は育ちません。
兄弟やいとこがいない子どもの場合は、友達を家に呼ぶのも、分け合うことを練習する別の方法です。先ほどもありましたが、社交スキルの観点から考えれば、友達を家に呼ぶのは、人をもてなしたり、また人の家で適切にふるまったりすることを、小さな子どもが身につけるのを助けます。また、他の子どもが何を欲しいか考えることにも関わっています。
小さな子どもにとって、このような行動をとるのはとても難しいことですが、練習する必要はあります。もし子どもが物を分け合ったり順番を守って遊んだりしている所を見つけたら、励ましたり、ほめたり、注目したりしましょう。例えば、「みんな今日は一緒に遊ぶのが上手だね」のような感じです。