子どもの睡眠不足の影響
産まれたばかりの赤ちゃんのいる親なら誰でもご存知だと思いますが、睡眠不足は大変疲れます。体の疲れを感じるだけでなく、頭も、まるで霧の中で動いているように感じます。睡眠不足が理由で起こることの中には笑って済むこともあります。小さな子ども用のコップを犬にあげたり、トイレをソファーだと勘違いして座ってしまったりと、ネット上には睡眠不足の保護者の皆さんの面白いエピソードがたくさんありますね。
ですが、睡眠不足はときに深刻な事態を起こすこともあります。作業現場や道路上での事故などがそうです。また最近では、幼児期に日々睡眠不足であることが将来の認知や行動の問題に関連があることを示唆するエビデンスが増えつつあるのです。
例えば、未就学期の睡眠不足が7歳時の実行機能の問題と関連があるという研究が、American Pediatricsで発表されました。ボストンのMassachusetts General Hospital for Children の小児医局長のElsie Taveras博士が指揮を執った研究です。
母親と教師が回答した尺度で認知機能と行動において低いスコアだった7歳児には以下の共通点がありました:
- 3-4歳時の睡眠時間が10時間以下
- 5-7歳時の睡眠時間が9時間以下
ということは、3-4歳児は朝6時に起きたら夕方7時ごろには寝たほうがいいということです。仮に年齢が5-7歳と少し大きく、朝7時まで寝ていたとしても、夜9時までには寝ていた方がいいということなのです。
この研究の著者らは、睡眠不足がこのような問題の原因であるとは言っていません。実際には様々な要素が複雑に関わっているのです。この研究より前に発表されたこのような研究では、行動や認知の問題の原因となる健康状態や境遇の結果として睡眠不足が起こっている可能性も示唆されています。
睡眠医学の発展により、スクリーンからの光、睡眠時無呼吸症候群、不安などの影響に関する知識が増えました。大人への影響もですが、子どもへの影響に関する知識も増えています。米国のThe National Sleep Foundation では、ウェブサイト(www.sleep.org) で最新の情報をわかりやすく紹介しています。
長年にわたり変わっていないことは、子どもには一定で予測しやすい睡眠の習慣が必要だということです。親がシフト勤務である場合、別れたパートナーや祖父母と子育てを共有している場合、またゲーム・ビデオ・ソーシャルメディアのアプリなどに没頭してしまいがちな現代においては、習慣作りはさらに大切です。
子どもはそれぞれ個人差があり、簡単に寝付く子どもとそうでない子どもがいます。子どもを寝かす時に四苦八苦することはよくあることです。もし子どもの睡眠について困っていたら、Triple Pファシリテーターと話して、子どもが寝ることを楽にするアイデアやテクニックについて相談してみるのもよいでしょう。よく眠ってすっきりする以外にも、子どもにとっての長期的なメリットはたくさんありますよ。