
前向き子育て:その内容は
子育て自体かなり長い歴史があるわけですが、エビデンスに基づく子育てプログラムという概念も、長年にわたり存在しています。幸いなことに、今日の人々は「過去にまあまあよかった事柄なら、今も十分よいはずだ」という考え方に、必ずしも従うべきでないことに気づき始めています。そうでなければ、私たちはいまだにインフルエンザの治療に瀉血療法を行ったり、含鉛ペイントを利用したり、子どもは親の目の届く所にいればよく、子どもの話を聞く必要はないと考えたりしていることでしょう。
子どもの発達や、親と家族にとって有効なものについての研究は、だいぶ進みました。自分が正しいことを行っているよう願いつつ、親がつまずきながら独りで子育てする必要はもはやありません。
前向き子育てという用語が広まったことは素晴らしいことですし、このことは、「Triple P--前向き子育てプログラム」の研究開発が30年近くも継続され、世界中で使用されてきたことを考えれば、驚くことでもありません。ただ、人々が前向き子育てについて話す場合、Triple Pについてではなく、一般的な子育て方針について話していることがほとんどです。また、前向き子育てとは何かという点については、誤解もあります。しつけを全く行わないことを意味するのだと考える人もいます。(そうではありません。)柔軟性に欠けた「これをしなくてはならない」という教えだと考えている人もいるようです。あるいは、ちょっとした流行だと見る人もいます。
ここで明確にするために、前向き子育ては下記のようなものではありません。:
- 子どもを騒がせておく
- 常に、なんでもかんでも子どもをほめる
- 子どもがして欲しいと要求することは何でもする
- 子どもを操って親が要求することをさせる
- 誰にでも通用する一連のルールに従う
- 「完璧な親」でないことに罪悪感を感じる
前向き子育てが本当に意味するものは:
- 親がより自信や能力を持つような支援を行う―この結果、親は落ち込むこと、ストレスを感じることが少なくなり、子育てに関する問題でパートナーと衝突することも少なることが研究によりわかっています
- 日常的な場面を用いたり、機会を作ったりして、子どもの学びを支援し、自分のベストを尽くすやる気を起こす
- 強固で子どもを育む家族関係と良好なコミュニケーションを築く
- 問題を予防するために事前に計画する
- 問題行動に対処するためのエビデンスに基づいた方法を使用する
- 建設的で害のない方法で、自分の行動や感情に対処するよう子どもに教える
- 自分自身のストレス管理についてさらに学び、親として自分を大切にする