私たち大人がどんなふうに話しているか、話し合いましょう
Triple Pの事業の一環で、家庭生活の様々な問題について保護者の皆さんに調査をすることがあります。よく目にするのは、多くの親が自分の子育ての仕方が他人に非難されていると感じていることです。でも、同時にその親たちは自分が他の親を非難していることにも気がついています。
人生において競争心があることはある程度健全なことですが、子育ては競争で、お互いが敵だと考えることは健全ではありません。子どもに合った栄養、活動、おもちゃ、または名前についても、他の親は全然わかっていないと決めつければ、少しの間自己満足や優越感を感じるかもしれません。でも、他の親の子育てについて簡単に判断を下すような社会を作ってしまうと、長期的には、どの親も完璧なラインに至っていないと感じてしまうでしょう。遊び場や学校の駐車場で、他の親が何を考えているか、想像することがやめられなくなってしまうことは言うまでもありません。
家、車、テクノロジー、赤ちゃんグッズなど、正しいものを買えば子どもに本当に価値のある物を与えていることになる、という考えを植え付けるような現代の消費社会も助けになっていません。
そこで問題は、みんなが互いを批判し合うことなく、ある家庭環境が他の家庭環境よりも子どもにとって良い環境であるという「事実」を有意義にオープンに話し合うにはどうすればよいか、ということです。支援を必要とする人々を侮辱することは役に立ちません。どんなに親が努力しても、子どもの行動の問題は様々な家庭で幅広く起こるのです。子育てに熱心になり過ぎることにも欠点があります。ライフスキルや人間関係のスキルが足りない、不安で落ち込んだ子どもやティーンエイジャーを育ててしまいかねません。すべての親が最善を尽くすことができる、現実的で実用的な方法を見つけて、そこにフォーカスすることが必要です。
子育てについて話し合うときに、子育てがどれほど大変か、どれほど重荷か、自分の子どもまたは誰かの子どもにこんな問題がある、などについてのみ話し合うことにも問題があります。このような話し合いも、短期的にはスッキリするかもしれません。でも、そのような話し合いの中での言葉の選び方は大変重要です。子育てや家庭生活について話す時にネガティブすぎるのは健全ではありません。たとえ冗談でも、子どもが自分の生活を大変にしているという意味合いで話すことは問題解決の助けになりません。同じように、愛する人には使わないであろう言葉(「バカ」など)を使うことも助けになりません。子育てや子どもについての私たち親の話し方は、自分自身や子どもに影響するだけではありません。他の人々の話し方や行動にも影響するのです。
最近Triple Pセミナーを行った時に、私たち親がどのようにネガティブな話し方や考え方をしてしまう傾向に陥ってしまうのかについて話しました。多くの参加者の皆さんがパートナーの顔を見て、そのような話し方や考え方をすぐにしてしまうとうなずいたり同意したりしているのを見ました。このような話し方、考え方は多くのネガティブな感情や行動に火をつけてしまい、家庭内、そして広い社会の問題の一部になりかねません。ことばの使い方が私たちの感情や行動に大きな影響を与えることがあるのです。
バラ色のレンズで物事を見ればよいと言っているのではありません。私たちがするべきことは、子育てで達成可能なことや子育てから得ることができるものについてよりまえっむきに考え行動することです。批判的な部分を減らして、解決法にもっとフォーカスするよう身につけることは可能です。
そこで、セミナーの後で、保護者の皆さんにセミナーで話したことについて考えるようお願いしました。もし役に立つ情報を得られたと思ったら、その情報を知り合いの保護者の皆さんにどのように伝えたら役に立つでしょう?自分自身、他の親、地域全体に向かって、子育てはポジティブにできると言うには、互いにどのような協力ができるでしょう?競争ではなく互いのサポートとして、考えやアイデアを共有しましょう。私たちみんなが仲間なのです―子どももです。